微小環境における腫瘍細胞の悪性誘導機序の解析と制御
Project/Area Number |
10169218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮本 謙一 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30100514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 次哉 金沢医科大学, 助教授 (60159184)
野村 政明 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (20247480)
横川 弘一 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (50283122)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 腫瘍 / 悪性 / シスプラチン耐性 / in vivo薬剤耐性 / メタロチオネイン / トランスポーター / cMOAT |
Research Abstract |
腫瘍細胞は生体内の微小環境にいて生体内因子に応答して悪性形質を発現していると考えられる。AH66細胞はin vivoでシスプラチン(CDDP)耐性を示す。そこで、対照細胞としてAH66から分離されたAH66F細胞を用い、AH66細胞のin vivo耐性の機序を検討した。 AH66F細胞のin vitroにおけるCDDP感受性は、腹水の添加によってもIL-1β、IL-6、TNF-αの添加によっても全く変化しなかったが、AH66細胞のCDDP感受性は、腹水の添加だけでなく、IL-1β、TNF-αにより有意に低下した。そして、この感受性の変化は、PKC阻害剤で抑制できたが、PKA阻害剤の影響を受けなかった。 細胞内メチロチオネイン(MT)含量を測定したところ、AH66F細胞ではいずれの処置によってもMT含量は変化することはなかったが、AH66細胞は、腹水中で培養することによりMT量が著しく増加することが明らかとなった。 さらにAH66細胞を腹水中で培養することによりCDDP取り込み量が低下することも見出した。これに伴い、細胞外へのCDDP排出量が増加した。CDDPはグルタチオン抱合した後、アニオントランスポーターにより細胞外へ排出されるため、AH66細胞に発現しているアニオントランスポーターを検索したところ、MRP、cMOATの他数種類のトランスポーターの発現を確認した。しかし、腹水により発現量が変化したのはcMOATのみであった。対照細胞のAH66Fでは、CDDP取り込み量はAH66細胞より著しく高く、上記のような処理によっても細胞内CDDP量には変化がなかった。また、AH66F細胞はMRPを発現していたが、cMOATmRNAの発現は確認できなかった。 以上のように、in vitroでは検知し得ないin vivo薬剤耐性を提示できたこと、この様な現象が生体内での癌細胞の増殖環境で起こっていることを示したことは意義深いものと考える。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)