転写因子の機能に注目した脊椎動物のオーガナイザー・脊索形成機構の解析
Project/Area Number |
10173220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 洋 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (10211939)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | オーガナイザー / 脊索 / HNF-3β / 転写制御因子 / エンハンサー / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
脊椎動物の体軸構造の形成過程では、オーガナイザー及びそれに由来する脊索などの体軸中央の組織が重要な働きをしており、その形成機構を解明することが、体軸形成機構を理解する上で重要な鍵となっている。そこで私は、マウス胚のオーガナイザー・脊索の形成に必須の転写因子であるHNF-3βに注目し、その遺伝子発現制御機構を明らかにするため、トランスジェニックマウス胚を用いてエンハンサーの解析をしてきた。本研究では、このエンハンサー活性に重要な塩基配列を同定する事を目的として、異なる種間でのエンハンサーの塩基配列の比較を行った。魚類(ドワーフグーラミー)およびニワトリからHNF-3βをクローニングし、トランスジェニックマウス胚を作成して、オーガナイザー・脊索のエンハンサーを同定した。塩基配列の比較によりマウス・トリ・魚の3つの種間で保存された3つの配列(CS1,CS2,CS3)を見いだした。CS1,CS2はそれらを欠失すると遺伝子発現の強さが著しく減少したが、発現の組織特異性は保たれていた。一方CS3を欠失すると、ノード・脊索での遺伝子発現は完全に失われ、異所的な発現のみが見られた。したがってエンハンサーは、CS3の関与する領域特異性を決定する部位と、CSl/2の関与する遺伝子発現レベルを増強する部位とから成り立っている事が示唆された。ニワトリ胚の核抽出液を用いたin vitroでのDNA結合実験によりCS3に結合する因子の存在を確認でき、さらに、CS3内に塩基置換を導入した実験から、その因子の結合活性とエンハンサー活性とが対応する事も分かった。したがって、この因子がオーガナイザー特異的な遺伝子発現の制御に重要な役割をしていると考えられ、今後、その因子を同定し、その機能を解析することにより、オーガナイザー形成の分子機構の一端を明らかにする事が出来ると期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
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