パーキンソン病患者脳内神経細胞の破壊とボルナ病ウイルス病感染
Project/Area Number |
10176202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
生田 和良 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (60127181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森若 文雄 北海道大学, 医学部, 助教授 (30142722)
小野 悦郎 北海道大学, 免疫科学研究所, 助教授 (00160903)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ボルナ病ウイルス / パーキンソン病 / 精神分裂病 / 剖検脳 / 病原性 / 大脳辺縁系 / 黒質 / スナネズミ |
Research Abstract |
ボルナ病ウイルス(BDV)はウマやヒツジの脳炎(ボルナ病)の原因ウイルスとして知られている。また、精神疾患患者においてBDVに対する抗体が存在することが見出され、ヒトにおいてもBDVが感染している可能性がはじめて指摘された。その後、精神疾患患者剖検脳の大脳辺縁系にBDV RNAが高率に検出されることも報告された。私たちは、ウマ、ヒツジ、ウマ、ネコなどの動物、また精神疾患患者におけるBDV検索を行い、わが国においてもドイツとほぼ同じBDV分布状況であることを報告してきた。さらに、ウマではわが国でボルナ病の報告はなく、運動器障害との関連性が特に高いこと、またこのような運動器障害ウマの剖検脳や精神分裂病患者の剖検海馬においてBDV RNAが存在する例のあることを報告してきた。本研究班では、パーキンソン病とBDVとの関連性について検討することを目的に、患者剖検脳内のBDV検索を行った。 パーキンソン病の特徴は、黒質のドーパミンニューロンの変性消失である。そこで、A及びB施設からそれぞれパーキンソン病患者4名と5名の剖検黒質および前頭葉を用いた。BDV遺伝子検索はnested RT-PCR法を用いて、今までに同定されている6遺伝子のうちの発現量が多いp40及びp24について行った。また、ウイルス分離の試みは黒質のホモジネートを新生仔スナネズミの脳内に接種することにより行った。 その結果、A施設からの4名中3名の患者サンプル、およびB施設からの5名中3名の黒質が陽性であった。さらに、A施設からの黒質サンプルのスナネズミ脳内への接種により、4例中2例(P2及びP4)においてスナネズミ脳内での増殖が認められた。このように、2施設からのパーキンソン病患者剖検黒質の検索により、高率にBDVが持続感染していることが明らかになった。今後、パーキンソン病の病態であるドーパミンニューロンの細胞変性がこのBDV持続感染に基づくものであるのかどうかについて明らかにする必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)