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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
紀伊半島の風土病として従来から有名な筋萎縮性側索硬化症(ALS)とパーキンソン痴呆複合(PDC)の実態と病因の解明に取り組んだ.紀伊半島に多発するALSとPDCの原因はいまだに不明であるが,環境因子(カルシウム代謝/重金属代謝異常説)と遺伝素因の関与が推定されている.多発地区が位置する三重県南勢町の構成地区のうち,穂原地区(人口1500人)だけが多発地区で,隣接の五ヶ所地区(人口3700人)では発症がみられていない.我々は,ALS/PDCの多発地区住民と非多発地区住民においてカルシウム代謝を比較検討した.また,ALS/PDC発症者において,中枢神経系にアルツハイマー神経原性変化が多発するという点で類似する進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)の危険因子であるタウ遺伝子多型を検討した.カルシウム代謝については,多発地区住民と非多発地区住民において,血清カルシウム,リン,マグネシウム,アルミニウム,アルカリフォスファターゼ,副甲状腺ホルモン,ビタミンDを測定したが,両地区住民間に差はなかった.タウ遺伝子多型については,ALS/PDC発症者13例(ALS4例,ALS+dementia1例,PDC6例,ALS+PDC2例)と健常日本人517名のタウ遺伝子多型を決定した.全例がPSPの危険因子である11リピートのホモ接合子を有していたが,健常日本人においても,95%以上が11リピートのホモ接合子を有するので有意差はなかった.したがって,現在までの研究では,ALS/PDCの発症要因として,カルシウム代謝異常やタウ遺伝子多型の関与は確認されなかった.
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