細胞内蛋白質分解と選択的神経細胞死の発生機構の関連性についての研究
Project/Area Number |
10176227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 医学部, 助手 (00217663)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 細胞死 / 不死化 / ユビキチンリガーゼ / 神経線維腫症2型 / カルパイン |
Research Abstract |
脳神経系における神経細胞の病的細胞死およびその反対側にある不死化(腫瘍化)については未知の部分が多い。第一に、神経疾患であるアンジェルマン症候群(AS)は重度の発達遅滞・痙攣・失調様歩行を特徴とし、顕著な小脳萎縮から選択的な神経細胞死が考えられる。ユビキチンリガーゼE6APおよびそのファミリーの生理機能とともに病態生理を明らかにし、ユビキチン依存性蛋白質分解と神経細胞障害の関連性について解明を推進した。第二に、神経線維腫症2型の病因遺伝子産物NF2は腫瘍抑制蛋白のひとつであり、その遺伝子変異で不死化した神経良性腫瘍を発生する。NF2蛋白(merlin)がカルシウム依存性プロテアーゼ(カルパイン)で特異的に分解されることで、NF2遺伝子に変異のない腫瘍でも蛋白質レベルでの不活性化があることを見出した。このように、神経細胞死および細胞不死化の両面から解析を行った。 (1) E6APと同じユビキチンリガーゼファミリーに属するNedd4は、当初、神経分化で発現レベルが低下する遺伝子として報告された。リガーゼドメインに加えて、カルシウム依存性に膜リン脂質に結合するC2ドメイン、蛋白質間相互作用に働くWWドメインから構成されている。哺乳細胞発現ベクターおよび特異的な抗体を用いて、Nedd4は主に細胞質、核周囲および細胞膜近傍に存在した。神経芽細胞の神経分化過程において蛋白質レベルでも低下し、細胞質と神経突起の両者に染色された。結合蛋白または基質の同定には、酵母2ハイブリド・システムを用いて解析中である。リコンビナント蛋白を用いたユビキチン転移システムの解析から、Nedd4およびE6AP共役して働くユビキチン結合酵素(E2酵素)を同定した。(2) merlinの分解と細胞不死化との関連性について解析した。カルパイン切断部位のペプチドシーケンスを決定した。ERM相同領域とa-ヘリツクス領域の間で切断されていた。しかも、髄膜腫などの神経腫瘍組織では、カルパインが恒常的に活性化されていることが判明した。このように蛋白質分解の異常に基づく腫瘍の発生メカニズムを、蛋白質分解変異と名づけた。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)