Project/Area Number |
10177212
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 宏治 三重大学, 医学部, 教授 (70077808)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 辰弥 三重大学, 医学部, 助手 (00242959)
|
Project Period (FY) |
1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Keywords | 動脈硬化 / アデノシン / アデノシン受容体 / 血管内皮細胞 / 内皮障害 / 内皮障害保護機構 / NO / NO産生酵素 |
Research Abstract |
正常な血管内皮の抗血栓性機能はトロンビンやTNF-α等の刺激によって低下し、障害内皮上には凝固惹起因子の組織因子(TF)や細胞接着因子VCAM-1等が発現され、内皮細胞上は炎症や血液凝固反応の亢進の場となる。こうした内皮障害は動脈硬化発生の"引き金"になることが示唆されており、動脈硬化発生機構の解明のため内皮障害の発生とその制御機構の解析は重要である。最近、我々は核酸代謝産物のアデノシンが障害内皮細胞上でのTFやVCAM-1の発現を阻害することを見い出し、アデノシン等による内皮保護機構の破綻が動脈硬化の発生に関わる可能性を示唆した。 そこで本研究では、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて、アデノシンによる障害内皮の保護機構に関する分子細胞学的検討を行った。その結果、HUVEC上のTF活性の発現はトロンビンなどの濃度依存性に促進され、このTF活性の発現はアデノシンによって抑制された。アデノシン受容体阻害剤(8-SPT)や受容体特異的アゴニストを用いた解析の結果、アデノシンは主にA3サブタイプアデノシン受容体を介して作用することが示唆された。一方、アデノシンによるHUVEC上のTF活性の産生抑制は、carboxy-PT10、L-NMMA、L-NAMEのいずれでも阻害され、また、培養HUVEC上清中のnitriteおよびcGMP濃度はアデノシンの存在下に有意に増加したが、8-SPT、L-NMMA、L-NAME存在下では低下した。以上の結果から、障害を受けた血管内皮細胞から分泌されたアデノシンは、その受容体を介して障害内皮細胞の保護に働き、血管内皮の抗血栓性機能を保持すること、また、その作用の少なくとも一部はアデノシンが内皮細胞のeNOSを活性化して発現することが示唆された。
|