新しいホメオボックス遺伝子Gaxの血管平滑筋分化誘導の分子機構とその臨床的意義
Project/Area Number |
10177216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252457)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 血管平滑筋 / cGMP / ナトリウム利尿ペプチド / ホメオボックス / キナーゼ / 増殖 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
近年同定されたGax(Growth arrest-specific homeobox)は、大動脈、心臓など循環器系特異的発現を示すホメオボックス遺伝子であり、血清やPDGF等の増殖促進因子によって発現が抑制されること、その過剰発現により血管平滑筋細胞(VSMC)増殖が阻害されることが示され、VSMCの増殖抑制において重要な意義を有すると考えられている。これまでに我々は、血管作動性ペプチドであるアンギオテンシンII(AII)とナトリウム利尿ペプチドがVSMCの増殖に対し拮抗的に作用していること、Gaxの発現がAII及びC型ナトリウム利尿ペプチドによりそれぞれ抑制及び促進されることを明らかにし、GaxがVSMC増殖抑制シグナルにおいて、共通の転写因子として関与する可能性を示した。本年度は以下の結果を得た。 (1) cGMPc/cGMP依存性プロテインキナーゼ(cGK)/Gax経路の同定とその発現調節:我々が既にクローニングしたヒトcGKIα全長cDNAより、N端側の二量化ドメイン・cGMP結合ドメインを欠失させ、ほぼ媒介ドメインのみからなる持続活性型cGKIα(335-671a.a.)を構築した。得られた持続活性型cGK発現ベクターをVSMCに導入したところ、l%血清刺激下において対照群に比べ約2倍のGax発現の亢進を認めた。更に、内因性Gax発現の欠失する培養ラット胎児由来血管平滑筋細胞株A7r5を用い、持続活性型cGK及びGax発現permanent cell lineを樹立し細胞増殖を検討したところ、cGK及びGax発現細胞において、ともにサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p21^<cipl>発現の亢進に伴い、紡錘形への細胞形態の変化及び増殖速度の著明な低下を認めた。 更に、cGMP経路によるVSMC増殖抑制において実際にGaxが関与しているかについて、アンチセンスDNA法により検討した。その結果、Gax mRNAに特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド10^<-6>Mの導入により血管平滑筋細胞でのGax発現は約70%抑制され、この時cGMPによるp21^<cipl>発現の亢進及び増殖抑制はほぼ完全に阻害された。この結果は、cGMP/cGKによる血管平滑筋細胞増殖抑制においてGaxが必須であることを示している。 (2) cGKトランスジェニックマウスの開発:我々がクローニングしたcGKcDNAを3コピー及び15コピー有するトランスジェニックマウス(cGK.Tg)を開発した。このcGK.Tgでは、心臓、肺、血管、骨格筋、小脳においてcGK活性の亢進を認めた。
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Report
(1 results)
Research Products
(19 results)