Project/Area Number |
10177222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金出 英夫 九州大学, 医学部, 教授 (80038851)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 血管内膜 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / ミオシンフォスファターゼ / 脱燐酸化反応 / 細胞シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は、血管内膜構築の制御における細胞シグナル伝達網の役割を明らかにすることを目的とする。本年度は特に、内皮細胞におけるミオシン脱リン酸化酵素調節サブユニット(M130)の発現や細胞内局在を解析し、内皮細胞の増殖・形態変化や増殖の接触抑制における脱リン酸化酵素の役割を明らかにした。1)ウエスタンブロット解析:内皮細胞におけるミオシン量に対するM130の相対的な量は、平滑筋細胞の場合の3〜4倍であった。内皮細胞の培養前、増殖期及び静止期において、M130の発現量に差はなかった。2)細胞骨格の観察:細胞密度が低く増殖が盛んな時期の内皮細胞では、M130はストレスファイバーと同様の分布を示した。細胞間接触が密なコンフルエントの時期ではM130の発現量に差が無いにも関わらず、ストレスファイバー状分布は消失し、M130は細胞膜直下に局在した。3)豚内皮細胞cDNAライブラリー検索:ブタ内皮細胞には、56アミノ酸領域を含むアイソフォームと、これを欠損するアイソフォームの2つのM130アイソフォームが発現していた。4)BrdU取り込みによる増殖能評価:内皮細胞DNA合成の接触による抑制にたいする脱リン酸化酵素阻害剤(オカダ酸およびカリクリン-A)の効果を解析した。DNA合成はオカダ酸(10nM)処理により1.5〜2倍に増加した。カリクリン-A(1nM)は効果がなかった。これらの結果から、以下の事項が示唆された。1)内皮細胞のミオシン脱リン酸化反応にも平滑筋と同様の調節機構が存在する。2)接触により増殖を停止した内皮細胞において、M130は膜蛋白質の脱リン酸化反応の調節に関与する。3)接触による増殖停止には主に2A型脱リン酸化酵素が関与する。このように、内膜構築、とくに内皮細胞の増殖や、接触による増殖抑制において、ミオシンのリン酸化反応が重要な役割を演じている可能性が高い。
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