低分子CXCR4アンタゴニストT22を基盤構造とした抗エイズ治療薬の開発研究
Project/Area Number |
10180214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉村 啓和 京都大学, 薬学研究科, 講師 (80217182)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | タキプレッシン / T22 / T140 / ケモカインレセプター / CXCR4 / アンタゴニスト / 抗HIV活性 / 侵入阻害 |
Research Abstract |
私は、約8年前、カブトガニの生体防御ペプチドtachyplesin,polyphemusinをリード化合物として、T22([Tyr5,12,Lys7]-polyphemusin II)という、AZTに匹敵する抗HIV活性を有する誘導体を見い出した。また、最近、ケモカインレセプターCXCR4にT22は特異的に結合し、T細胞指向性のHIVの感染を阻止することを見い出した。今年度、T22の構造活性相関研究の結果を参考にして、T22の低分子化、および、高活性低毒性化を試みた。すなわぢ、T22に含まれる内側のS-S結合が活性発現には必須ではないことを見い出したので、これを含む4残基を削除したTW70,T131を合成し、高活性を有することを確認した。また、Lys12を中性アミノ酸 L-citrullineに置換し、ペブチド全体のチャージを減らすことにより、低毒性化に成功した(T134,T140の発見)。 次に、CXCR4を介するHIV-1の侵入を阻害する活性をこれらのT22,T140関連誘導体間de比較した。また、抗CXCR4モノクローナル抗体(12G5)のCXCR4への結合に対するT22誘導体の阻害活性も調べた。抗HIV活性に関しては、IF assayとMTT assayで検定した。その結果、抗HIV活性とCXCR4阻害活性および抗体結合阻害活性が相関することを見い出し,tachyplesin誘導体における抗HIV活性の上昇はCXCR4に対するbinding abilityの上昇に起因するものであることを明らかにした。天然のケモカインを構造的な由来としないCXCR4アンタゴニストは、現在までに3種類報告されている(T22と、De Clercqらのbicyclam、DoranzらのAc-(D-Arg)9-NH2)。この3化合物とT140の抗HIV活性とCXCR4阻害活性および抗体結合阻害活性を、上記と同様な方法により測定し、比較した。これらのassay系においては、T140が最強の抗HIV活性およびCXCR4阻害活性を示した。また、他の化合物との共通点および相違点を考慮して、さらに有用な化合物の開発を目指したい。ここ数年、HIVの感染に必要なcoreceptorsの解明研究が急速に進み、1996年にCCR5,CXCR4がcoreceptorsであることが報告されて以来、このCCR5,CXCR4に対するHIVの結合を阻害する薬剤が有望視されている。ケモカイン自体は約70残基の長鎖ペプチドであるので、T140のような低分子(14残基)のCXCR4アンタゴニストは、非常に有用な抗HIV剤であると考えられる。これらの化合物はHIV感染メカニズムの解明研究に役立つpharmacological toolになるとともに、今後のHIV coreceptorを標的とする侵入阻害剤の開発研究に大きく貢献するものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)