Project/Area Number |
10180231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
坂根 剛 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40127519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岳野 光洋 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (50236494)
鈴木 登 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (40235982)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | HIV感染症 / サイトカイン / Th1型細胞 / Tecファミリー / チロシンリン酸化蛋白 / Txk / IFN-γ / 転写因子 |
Research Abstract |
HIV感染によるサイトカインの動態は複雑であるが、AIDSに進展する病態ではTh1型反応の障害が関連すると考えられている。本年度はTh1型細胞に特異的に発現するTecファミリーのチロシンリン酸化蛋白Txkに着目し、Th1型細胞の活性化経路におけるTxkの役割を解析した。ウエスタンブロッティング法によりリンパ球サブセットにおけるTxkの発現を検討すると、リンパ球系腫瘍細胞株、末梢血リンパ球いずれにおいてもT細胞系にのみTxkの発現を認めた。末梢血リンパ球より樹立した抗原特異的T細胞株のTxkの発現は、Thl型細胞で陽性、Th2型細胞で陰性であった。Jurkat細胞にTxk発現ベクターpME18S-Txkをトランスフェクトすると、Txk蛋白の発現が著明に増加した。このトランスフェクタントをPHA+PMAで刺激すると、IFN-γ産生の著しい増加が観察されたが、IL-2,IL-4の産生には全く影響を与えなかった。さらにTxkアンチセンスのサイトカイン産生に及ぼす影響を検討した。末梢血T細胞にTxkアンチセンスを添加すると、48時間後にはTxk蛋白の発現は著明に減弱した。このアンチセンス存在下で、PHA刺激末梢血リンパ球によるIFN-γの産生は抑制されたが、IL-4の産生には影響がなかった。また、抗原特異的T細胞株に対してもTh1,Th0型によるIFN-γの産生は選択的に抑制されたが、Th0型によるIL-4産生には影響がなかった。これらの成績はTxkがTh1型サイトカインの産生機序に関与することを示している。次にT細胞でのTxk発現に対するサイトカインの影響を検討した。末梢血T細胞にIL-2を添加してもTxkの発現は変化しなかったが、Th1型細胞の分化を誘導するIL-12により増強し、Th2型細胞の分化を誘導するIL-4により抑制された。またJurkat細胞株をPHAで刺激すると、1時間後にTxkの細胞質内から核内への移行が確認された。Txkは核移行シグナルと考えられる構造をもつことを考え併せると、Txkはリン酸化蛋白としてだけでなく転写因子としても機能している可能性が考えられた。以上の成績より、TxkはTh1型細胞の分化と関連し、Th1型サイトカインの産生を誘導するチロシンキナーゼ活性を持つ転写因子として機能していると考えられた。今後、HIVにおける複雑なサイトカインネットワークをTxkを中心にした単純なネットワークに置き換え、Txk発現系修飾によるHIV感染症の治療に応用すべく検討を続ける予定である。
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