遷移金属および希土類金属原子と有機分子との多層ネットワーク構造体の研究
Project/Area Number |
10304050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茅 幸二 慶應大, 理工学部, 教授 (10004425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 敦 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30217715)
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Project Period (FY) |
1998 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥27,800,000 (Direct Cost: ¥27,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥8,500,000 (Direct Cost: ¥8,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥19,300,000 (Direct Cost: ¥19,300,000)
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Keywords | 有機金属錯体 / 遷移金属 / 希土類元素 / サンドイッチ構造 / シクロオクタテトラエン / ピリジン / C_<60> / イオン結合 |
Research Abstract |
本年度は、その当初、錯体形成のダイナミックスの研究を主眼とする予定であったが、希土類元素とシクロオクタテトラエン、ピリジンそしてC_<60>との錯体クラスターに新奇な構造と電子状態を見出したため、それらのクラスターの構造と電子状態の研究に目的を絞った。本研究ではレーザー蒸発法と分子線を用い、金属原子とリガンドとしての分子の濃度を変化させつつ気体条件で、溶媒の影響なしに金属錯体クラスターを合成できるという利点を持つ。そこで生成したクラスターを、気体のまま電子分光、イオン化エネルギー測定、さらには他の気体分子との反応生成物の確定などが、精度の高い質量分析法(分解能2,000、質量10,000まで)と併用して可能であり、その構造の情報を得ることができる。ランタニド元素は軌道半径の小さな4f電子をもち、そのため、他の原子・分子とはもっぱら電荷移動による静電相互作用で結合しているとされている。 本研究ではまず、2個まで電子受容が可能なシクロオクタテトラエン(0_8H_8)分子(COTと略記)とランタニド元素(Ln)とで構成されるクラスターを生成させた。その結果すべてのLn-COTクラスターが多層サンドイッチ構造をとって安定化することが結論された。しかし、その電子構造は以前我々が報告した同様なサンドイッチ構造のV-benzeneクラスター(強い共有結合)とは対照的に多価イオンによるイオン結合であり、金属原子はEu,Yb(+2価)を除いて+3価であると結論された。 LnとC_<60>とから構成されるクラスターは、Ln(C_<60>)_4というしn原子を中心においた正四面体構造が安定構造の基底となって、ここに同様な正四面体が成長していくこと、そしてLnからC_<60>へ電子移動がおこっており、金属の電荷はLn-COTの場合と同様であることが結論された。Eu-Pyridineクラスターでは、正イオンのみが安定であり、ピリジン分子は最大の配位数が6で、溶液中での報告結果を再現していることを見出した。これらのクラスターをサイズ選別して固定するソフトランデング装置がほぼ完成し、次年度以降サイズ選別したクラスターの分光研究、物性研究を試みる予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)