日本の地域社会における戦時から戦後への変容過程に関する実証的研究-農村と都市の比較史的考察-
Project/Area Number |
10630078
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Economic history
|
Research Institution | Yokohama National University (2001) Tsuru University (1998-2000) |
Principal Investigator |
大門 正克 Yokohama National University, 経済学部, 教授 (70152056)
|
Project Period (FY) |
1998 – 2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | 戦時動員 / 戦後改革 / 農村 / 都市 / 京浜工業地帯 |
Research Abstract |
本研究では、農村地域として山梨県南都留郡西桂村と岐阜県長良郡を、都市地域として神奈川県川崎市を調査し、戦時期から敗戦後にかけての史料の収集と分析を加えた。その結果、農村地域では、兵力と軍事力による戦時動員によって農民家族経営は大きな影響を受け、また戦時期の食料供出と戦後の農地改革によって地主制の大幅な後退・解体がはかられた。他方で川崎市は軍需を軸にした重化学工業化の急速な展開により、戦時期には人口が増大し、都市化の大幅な進展がみられた。だが、1945年の空襲と敗戦により、戦時重化学工業化は停止・縮小を余儀なくされ、民需を中心にした重化学工業化が始まるまでには一定の時間を要した。それに加えて、戦争末期から敗戦後には、都市部の生活水準は大きく低下し、敗戦後には農村と都市の生活水準が接近することになった。このように、戦時期から戦後にかけての農村と都市の変化は異なるだけでなく、農村の「優位」のような現象がおきたことにも留意する必要がある。 本研究でとくに力を入れてとりくんだのは、かつて東京大学社会科学研究所で行った京浜工業地帯調査史料の本格的な分析である。それによれば、1950年段階の工場労働者は、仕送りや就職のきっかけなど、さまざまな面で生家(農家が多い)や出身地(農村が多い)とのつながりを残している者が存外に多かった。戦時期の急激な労働力需要は、農村から都市への労働力移動を強く促したが、敗戦後5年をへた段階にあっても労働者のあり方には依然として農村とのつながりが強いのであり、そこにこの時期の都市と農村の関係がよく表現されている。 今のところ、戦時から戦後にかけての地域社会の変化は巨大なものがあったが、それは戦時動員と戦後改革の二重の衝撃によってあらわれたものであり、二重の衝撃の歴史的意味を過不足なく評価することが肝要であること、その点の分析を農村と都市の双方にわたって進め、本研究のまとめをはたしたいと考えている。
|
Report
(5 results)
Research Products
(12 results)