Project/Area Number |
10640485
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 耕一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90232678)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | ミセル / SDS / trans-スチルベン / 時間分解分光 / ピコ秒ラマン温度計 / 四塩化炭素 / 拡散律速反応 / 第一溶媒和圏 / 最低励起一重項状態 / 分子間エネルギー移動 / 溶液 |
Research Abstract |
研究代表者らは、平成11年度に本科学研究費補助金を受けて、平成10年度に引き続き最低励起1重項(S_1)状態のtrans-スチルベンのSDSミセルの中での溶媒和状態を研究した。研究代表者らがかつて通常の溶液中での溶媒和状態の解明のために独自に開発した「ピコ秒ラマン温度計」を利用する手法をここでも適用し、時刻0での温度上昇と与えた余剰エネルギーを比較検討することによって第一溶媒和圏の溶媒分子の個数を推定した。その結果、SDSミセル中では第一溶媒和圏に含まれる溶媒分子が1個から13個であるのに対して、ドデカン溶液中では0.4個から6個であると推定した。ミセル溶液中での類似の推定値は他に存在しないので、現時点でこの結果がどの程度一般的であるかを議論することは難しい。しかし、けい光寿命で測ったミセル中での微視的な粘性のドデカン溶液との一致やピコ秒ラマン温度計で測った冷却速度の不一致(いずれも昨年度に報告)とは異なった、新たな溶媒和構造の側面を捉えることができた。現在この主題に関する論文を執筆中である。 さらに、平成11年度は、ミセル中での動力学を理解する上で不可欠である通常の溶液中での化学反応動力学についても研究した。S_1 trans-スチルベンと四塩化炭素との超高速二分子反応の速度をフェムト秒時間分解可視分光法によって測定した結果を、拡散律速反応の数理モデルで再現できるかどうか検討した。その結果、最も基本的なSmoluchowskiの理論、およびこのモデルを発展させたCollins-Kimballの理論の双方で、観測結果をよく説明できることを見出した。これは、数ピコ秒の時間領域では、溶液中の分子運動を拡散として記述することが既によい近似になっていることを示唆する。この研究について報告した速報論文は現在印刷中である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)