Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
造血幹細胞の自己複製,増殖分化には造血微小環境を構成する骨髄間質細胞との接着による情報伝達が不可欠である.微小環境を構成している間質細胞が産生する細胞外マトリックス糖タンパクの1つであるテネイシンは主として間質線維芽細胞が産生し,癌細胞の増殖・分化における上皮・間質の相互作用に関与していると考えられる.テネイシン欠損マウスの長期骨髄培養系では,造血巣の形成,産生血液細胞数,産生細胞のコロニー形成能の低下が認められた.欠損マウスの長期骨髄培養系にテネイシンを添加することにより,造血能の回復が確認され,細胞外マトリックスの造血への深い関与が実証された.白血病性幹細胞も骨髄微小環境のネットワークのなかでクローナルな増殖を開始すると考えられる.白血病の中には未熟芽球の形態を保持しながら増殖を続けるタイプばかりでなく,一定の比率で分化形質を獲得していくものもあり,白血病性幹細胞の特性ばかりでなく,間質細胞側にも制御要因が存在するものと推定できる.胎児線維芽細胞株STO細胞には胎児性幹細胞の増殖を維持する能力があることに着目し,白血病細胞の増殖・分化に及ぼす間質細胞側の要因について,STOフィーダー細胞とマウス骨髄性白血病細胞株M1細胞との相互作用を検索した.両者の共培養系でM1細胞の増殖抑制と共に分化現象が見いだされ,さらにSTO細胞培養上清中にM1細胞の分化を誘導する生物活性が存在することが明らかとなった.STOが産生するサイト力インLIF,SCF,TNF-α,IFN-γに対する中和抗体では完全にM1細胞の分化を阻止することができなかったことから,今後,未知の分化誘導因子の同定とともに,間質細胞と白血病細胞との接着,増殖分化の情報伝達機構を詳細に検索する必要がある.さらに,特異的に白血病細胞の増殖を制御できる間質系細胞の樹立による白血病治療への可能性を探っていく.
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