Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
Wilms腫瘍の発生に関係しているWT1遺伝子のmRNAがほとんどの急性白血病の慢性骨髄性白血病の白血病細胞で正常造血細胞の100倍以上のレベルで高発現している事が我々によって見い出され,この研究成果は微小残存白血病細胞のモニターや再発の早期発見に臨床応用されてきた。 一方,我々は,上記の臨床応用と並行して,白血病細胞におけるWT1高発現の持つ生物学的意義に関する検索を推し進めており,すでに以前に,WT1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドが白血病細胞の増殖を抑制する事,マウス未熟骨髄細胞株32DのG-CSF存在下での増殖の低下と分化の促進がWT1遺伝子の強制発現により阻害される事を見い出しており,これらの結果は,WT1の過剰発現が白血病発症において重要な意義を持っている事を示唆している。 平成10年度と平成11年度は、上記の32Dを用いて得た実験結果をより一般化するために,細胞株の代わりに新鮮材料(マウス骨髄細胞)にWT1を強制発現させ,32Dと同様の現象を示すかどうかを,くり返し,又,より詳細に検証した。未熟造血細胞を濃縮したマウスの骨髄細胞にWT1を強制発現させ,G-CSFを含んだ半固形培地中で培養し,WT1非感染群とコロニーの数と質を比較した。その結果,WT1感染群において有意により多数のコロニー(CFU-GM,CFU-G,CFU-M)が認められ,また,そのコロニー形成細胞の分化は,WT1非感染群のコロニー形成細胞に比べて抑制されていた。この結果により,WT1の過剰発現が未熟造血細胞においてoncogenicに,つまり白血病発症の促進因子として働く可能性がより明らかに示された。 臨床検体を用いた研究として,急性白血病への進展の可能性のある骨髄異形成症候群(MDS)の骨髄および末梢血のWT1レベルを測定した所,白血病への進展の可能性のより大きいRAEBやRAEB-tではその可能性のより小さいRAに比べてWT1のレベルが高い事が明らかとなった。この現象もWT1が白血病発症において重要な生物学的役割を有している事を強く示唆している。
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