インド密教における死の看取り,mrtyuvancanaの思想と儀礼に関する研究
Project/Area Number |
10710006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
印度哲学(含仏教学)
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Research Institution | Tohoku University (1999) Iwate University (1998) |
Principal Investigator |
桜井 宗信 東北大学, 文学部, 助教授 (30292171)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | インド密教 / Mrtyuvancana-Tara / Vagisvarakirti / 成就法 / 死 / 密教儀礼 / mrtyuvancana / Mrtyuvancanopadesa |
Research Abstract |
Mrtyuvancanopadesa第4章「内的なmrtyuvancana」が示すTaraの観想法と、梵文写本及びチベット大蔵経内に見在する各種「成就法集成」が収めているMrtyuvancana-Tara-sadhana・Mrtyuvancana-Sitatara-sadhana・Mrtyuvancanopadesa-Tara-sadhanaという3本の異なったmrtyuvancana-Tara成就法との比較考察を行い,同Taraの生起・観想における基本的手続きとその構造を明らかにした。 更にそれら4書の所説の異同を確認した上で,それを用いて4書の成立・展開経過を明らかにした。すなわち先ず基本典籍であるMrtyuvancanopadesaをVagisvarakirtiが著し,次にそれに基づいてSitatara-sadhanaを彼の弟子が整定しTaraの独立した成就法の体裁を確立した。続いてその簡略版としてTara生起の中心部分のみを含むTara-sadhanaが編まれた。一方残るMrtyuvancanopadesa-Tara-sadhanaは以上の流れとは別に,Mrtyuvancanopadesaを直接の典拠として"Mrtyuvancanopadesaに則ったTaraの観想法とその功徳を説くことに特化した直截で単純なマニュアル"として,他の2本より後代に導き出されたと考えられるのである。 以上のようにmrtyuvancana-Taraの成就法はMrtyuvancanopadesaを起点として少なくとも2種類の仕方で流伝していたことが判明したが,本成就法に関する考察を巡っては,「死を欺く(mrtyuvancana)」ために用いる尊格として何故Taraが選ばれたかの解明が,今後に向けた重要な課題になるであろう。 また,Mrtyuvancanopadesaの著者Vagisvaraの思想上の位置付けをより明確にすることを目的として,彼が著したTattvaratnavalokaの梵文テクストをチベット語訳とも対照しつつ解読し,彼がチベットで「瑜伽行中観派」に属すると評される根拠を本書の記述に求め得ることを解明した。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)