Project/Area Number |
10710016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fine art history
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 大輔 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (00282541)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 明恵上人樹上坐禅像 / 高山寺 / 華厳縁起絵巻 / 宋風 / 元人名賢四像図巻 / 宋風画 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の「明恵上人樹上坐禅像」の研究に続き、高山寺絵画のもう一つの核を成す「華厳縁起絵巻」の調査研究を行った。「華厳縁起絵巻」は「義湘巻」三巻、「元暁絵」三巻から成る。両巻は新羅の華厳宗の祖、義湘、元暁の二人の伝記を「宋高僧伝」に基き絵画化したものである。しかし、単純に絵画化したものではなく「義湘巻」、「元暁巻」は相互に有機的な関係を有している。即ち、「義湘巻」では、唐に渡り修行の末帰国する僧の物語が語られ、一方、「元暁巻」では、唐に渡ろうとするも仏法は心の内にあることに気づき、新羅に帰国し王室に仕える僧の物語が語られる。これは丁度、中国、インドに渡り直接釈迦の教えを学ぼうとした理想の明恵の姿、及び、実際には渡航を果せず国内に留まって修行を行った現実の明恵の姿に対している。こうした大きな制作意図を把握した上で、個別的な場面の研究に入った。特に、「元暁巻」の中の、元暁が山中で坐禅を行う場面、また、それに続く山水を詠ずる場面を中心に画面構成の様式的源泉について探った。更に、「華厳縁起」を個性化するもう一つの形式的特徴である画中詞の問題についても中国や周辺国家の画巻との比較研究をすることで東アジア的観点からその意義を解き明かす試みを行った。以上の「華厳縁起絵巻」の研究は現在論文化の作業中である。 一方、人物表現の問題として「樹上坐禅像」中の明恵の顔貌表現は似絵作品と比較される。そこで改めて比較対象としての似絵作品の研究に入り、似絵全般の本質として中国絵画との関係を認めるに至った。今のところ、明恵の顔貌表現は似絵と直接の関係を認めるのは難しいが、両者の比較は「明恵上人樹上坐禅像」が宋風を如何に受け入れたか、その特色を逆の側から照らしてくれることになろう。その端緒として、中国の肖像画作品である「元人名賢四像図巻」について研究発表を行った。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)