Project/Area Number |
10710134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Kobe University of Commerce |
Principal Investigator |
吉川 卓治 神戸商科大学, 商経学部, 助教授 (50230694)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 公立大学 / 学制改革論議 / 教育調査会 / 臨時教育会議 / 大学令 / 高田早苗 / 官公私学同一視論 / 大阪医科大学 / 佐多愛彦 / 大学の地域貢献 |
Research Abstract |
本研究では、先の研究において公立大学理念の形成者として位置づけた大阪医科大学学長佐多愛彦の大学論が形成・展開された1900年前後から1910年代において、さまざまな場でなされた多くの大学(財政・制度)論を大学設置形態の観点から検討した。その結果は以下のとおりである。 (1)学制研究会を中心とした学制改革論議においては、官立以外の設置形態の大学を認めるべきであるとする主張がなされたものの、公立大学の位置づけについては必ずしも明確にされていなかった。 (2)1913年に文部省が設置した教育調査会においては、学制改革論議の高まりや高等教育をめぐる社会的情勢の変化を背景に文部省として初めて公私立大学を認める「大学校令案」が提出されたものの、公立大学に関してなされたそこでの議論は設置主体についての形式的な範囲論にとどまり、その独自なあり方や財政制度についての踏み込んだ検討はなされなかった。 (3)教育調査会にかわって設置された臨時教育会議においても公私立大学容認の情勢に変化はみられなかったが、全般的に設置形態への関心は低かった。これを背景にして主査委員会において公立大学の例外性が挿入され、それがそのまま答申に反映された。しかも、そこには「自治会」としての主体的な側面が捨象され国家の地方行政区画としてのみ捉えられた一面的な地方公共団体観が存在していた。これは佐多の都市観に通底していた。 (4)この答申を土台にして大学令が制定・公布されるが、それに至る閣議や枢密院(審査委員会)での議論においても公立大学の独自性やそれに基づく財政制度についての検討はなされなかった。
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