Project/Area Number |
10710161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
白水 智 中央学院大学, 法学部, 講師 (60301470)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 山村 / 生業 / 林業 / 焼畑 / 狩猟 / 鉱山 / 古文書 / 山地交通 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続いて(1)『鎌倉遺文』の検索、(2)山梨県早川町の史料調査、(3)新たに栃木県栗山村川俣の史料調査を実施し、これらによる収集資料をもとに研究を進めた。 (1)に関しては、結果的に約20巻分迄しか検索は進まなかったものの、非農業的生産要素の大きな点で共通する海と比べて、山に関する史料がかなり少ないことが明らかになってきた。これは制度的な要因をも孕む問題として捉える必要がありそうに思う。また林業・材木関係の記事や焼畑に関わる記事等の抽出ができたほか、従来山に関する史料としては注目されていない日蓮関係の文書が、鎌倉期における甲斐身延山周辺の山の状況を知る好史料であることも確認できた。 (2)については、今までに集落の火災によって史料がないとされていた塩之上地区から、数百点にのぼる近世文書を新たに発見し、その全ての撮影を終える等の成果があがった。また早川町内の史料の読解によって、近世に下野国川俣(現栃木県栗山村川俣)への杣稼ぎが行なわれていたことが判明し、該地への調査も実施できた。これが(3)にあたる。その結果、川俣の山口栄家文書を選択撮影し、近世の当地には甲斐のみならず飛騨・信濃からも杣や日雇いの出稼ぎ者のいたことが具体的に明らかになった。また同家文書には、木工産品の運搬に女性が重要な位置をしめていたことが具体的に明らかになった。また同家文書には、木工産品の運搬に女性が獣よな位置をしめていたことを明示する史料も見出され、文献史料には残りにくい女性労働の一面をさぐる手がかりとして今後期待できる。 総じて山村研究は未開拓というべき広大な領域であり、2年間ではその解明のごく手始めの作業しかできなかったが、他国稼ぎ等にみる山村民の広範かつ自由な動きが確認できたことは1つの成果といえる。今後、山村を「他山村や都市との広域的なつながりをもち、多分に商品生産的な要素を含みながら多様な生業によって自活する世界」と捉え直す可能性が出てきた。
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