Project/Area Number |
10710205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国文学
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
湯浅 佳子 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (00282781)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 先代旧事本紀大成経 / 偽書 / 近世説話 / 儒仏道神一致思想 / 聖徳太子 |
Research Abstract |
日本の近世は、古典文芸を集大成し、次の近現代文芸界への礎を担った時代である。近世の文芸は現代に生きる我々のものの考え方や世界観にどれ程息づいているのであろうか。そのような視点に立ちながら、近世の説話文芸という分野について、その生成と展開の様相を明らかにしようと試みてきた。今回は特に談義本や読本といった作品の内容世界に影響を及ぼした『先代旧事本紀大成経』に注目した。 『大成経』の内容については「『先代旧事本紀大成経』の「神代皇代大成経序」」(「東京学芸大学紀要」第50集)で、本書が神道を旨としつつ当代流行した儒仏道の三教思想と調和させ、『日本書紀』を改編して神代から推古天皇までの歴史として記した書であることを述べた。 また『大成経』は、新たな聖徳太子説話を生成したという点でも重視すべき書であることについても考えてみた。近世の聖徳太子伝は、絵入版本『聖徳太子伝』をはじめ、草双紙の聖徳太子伝物によって流布したのであるが、『南総里美八犬伝』と聖徳太子伝」(「近世文芸」71号)では、『大成経』に記された聖徳太子伝が、『南総里美八犬伝』の犬江親兵衛の人物造形ための典拠として取り入れられたことを指摘し、近世期に新たに作られた説話が文芸作品に享受されていく一端を述べた。 以上のように、近世説話の性格の一端を明らかにするために『先代旧事本紀大成経』という書を取り上げ、説話文芸と当代の思想・信仰の関わりについて考えてきた。今後は近世から近代への説話の継承という問題をも視野に入れながら、近世の説話の生成と展開についてさらに調査を進めていきたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)