Project/Area Number |
10720010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public law
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩橋 健定 大阪大学, 大学院・法学研究科, 講師 (50293999)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 公共事業 / 環境負荷 / 外部効果 / 組織的合理性 / 公共性 / 行政訴訟 / 原告適格 / 環境影響評価 / 組織的意思決定 |
Research Abstract |
1 昨年度及び今年度の研究によって得られた新たな知見は以下の通りである。 (1)公共事業の環境への悪影響が争われた訴訟の多くにおいては、裁判所は結果的には被告側が現実にも法的にも多元的な組織であることを重視した判断をしているが、それは意識的になされているとは確認できなかった。特に、国家賠償法2条が適用される場合、国の期間の違法性のある行動を捉えるのではなく、物的設備の「瑕疵」の有無が問われるため、判決の論理においても組織的多元性は触れられることがない。 (2)現在の行政訴訟制度が、その基本構造として、政府が多元的な権力によって形成されていること、行政権だけに注目しても多元的な組織であり、その組織過程を通じて公益を代表しているということなどへの配慮を内包していることは確認された。但し、それが意図されたものであったか否かは、立法過程資料の精査によっても明らかにすることができなかった。 (3)環境問題は、社会的有用性を持つ一連の過程から「非意思的」に発生することをその本質としているため、行政訴訟の基本構造と相容れない面を持つことは、主に原告適格論から実証できたと思われるが、従来の研究成果と比較して新規性が大きいかどうかは学界の評価を待ちたい。 2 以下の2点は今回の研究により問題が明確になった点である。以上の成果を踏まえての今後の課題となる。 (1)公共事業の及ぼす環境への悪影響の法的統制においては、行政訴訟の基本構造と環境問題の本質との矛盾を解決することが要請される。これと同時に、「公共性」と「財産権保障」の調整メカニズムも必要となる。 (2)行政権における情報収集と価値判断が「意識的」か否かが、法的統制方法の選択の上で重大である。
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