契約の拘束力の根拠に関する実証的研究-契約の性質決定についての日欧契約法の比較-
Project/Area Number |
10720017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 清治 北海道大学, 法学部, 助教授 (20212772)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 契約の拘束力 / 意思主義 / 意思自治 / 私的自治 / 約款 / 贈与契約 / 取消 / 撤回 / 契約の拘勅 / 要約契約 / 要式契約 |
Research Abstract |
1 昨年度の日本における贈与法の研究を踏まえ、既に研究実施計画で予告したように、本年度は「私的自治論」の母国たるドイツの私的自治論に検討を加え、さらにその現代的病理現象ともいえる「約款論」にまで考察の歩を進め、次の知見を得た。 (1)日本では、たとえば消費者保護の局面で、事業者が消費者に十分な情報を与えるべきことを論証するさい、「私的自治の復権」が語られることが多く、十分な情報に支えられた自己決定こそが「私的自治」であり、自己責任の基盤だと考えられている。しかし、ドイツの一部学説では、それは消費者をいわば「半人前扱い」し、「私的自治」に反することと理解される。つまり、自律した人間なら、情報は自分で収集すべきであるとされるのである。これは日本では強調されてこなかった興味深い知見である。 (2)次にその「私的自治」が機能しない病理的現象とされる約款論については、従来、その対策ばかり論じられてきたが、それは「イノベーションに対する法的対応」という大きな位置づけを持つ問題で、世界の最先端を行く今後の日本社会では避けえないものであるから、約款に対する各種規制(立法、行政、司法、民間団体による規制)のあり方はモデル・ケースとしての意味があるとの知見をえ、かかる視角から(従来非難ばかりされ、真価が理解されていなかった)『石井・約款論』の再評価も行った。 2 以上の知見を学界の共有財産とすべく、(1)については、池田清治「メディクス・私的自治と決別すべきか」(『私法学の再構築』213-246頁所収1999年)で、上記の見解を紹介し、(2)については、池田清治「石井照久・普通契約条款」(『民法学説百年史』443-447頁1999年)として公表した。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)