Project/Area Number |
10720025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
亀岡 倫史 島根大学, 法文学部, 講師 (80284016)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1999: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 履行補助者 / 免責条項 / 第三者効 / 請求権競合 / 複合契約 |
Research Abstract |
(1)平成11年度は、履行補助者自身の自己責任問題のうち、「履行補助者、とりわけ労働者はそもそも一般的に対外的責任を負わないとすべきではないか(いわゆる労働者固有の企業外第三者責任制限理論)」について、さしあたり、ドイツの裁判例、学説を中心に検討を進めた。その結果、次のような諸点が明らかとなった。 1 ドイツにおける労働者責任制限理論は、まず対使用者との関係での労働者責任制限から出発した。そして、次に労働者が取引第三者から損害賠償請求を受けたときに、一定の要件のもとに労働者に使用者に対する逆求償権を承諾するという仕方で労働者の保護が図られた。 2 しかし、労働者の責任を取引第三者との関係でも制限すべきかどうかについては現在のところ、BGHの一連の判決、通説により否定されている。しかし、これを肯定する若干の有力説(Hanau)、労働者責任の法理的根拠付を再検討すべしとする説(Deutsch)なども出てきており、今後の動向が注目される。 これまでの検討で得られた成果の詳細については、平成12年度上半期中に大学紀要(島大法学)などで論文を公表すべく執筆を進めているところである。 (2)平成11年度は、第三者、とりわけ履行補助者に対する契約規範の影響という観点から、いわゆる「複合契約論」についての検討も進めた。近時のドイツでは、-従来の他人の行為帰責論(履行補助者責任論、使用者責任論)、企業内部における責任配分(法人自体の不法行為責任、業務執行者の個人責任、労働者自身の個人責任;これらの相互関係如何)、および現代型諸契約の類型ごとの特殊研究等の成果を踏まえつつ-、「契約結合(Vertragsverbindung)」、「複合契約(Der mehrgliedrige Vertrag)」、「ネット契約(Netzvertrag)、あるいはネットワーク(Netwerke)」などの諸概念で、分業化された取引形態における対外的帰責の問題を一般的且つ統合的に検討する研究が散見されるようになってきている。そして、これらの研究は、実際的な問題解決のための努力のみならず、契約の基本理論(契約の効力、契約規範の妥当根拠・射程範囲など)に対する理論的検討をも含んだものとなっている。まさに、現代における分業的取引形態は、現代における契約理論、民事責任論を考える上での結節点と位置づけられているのである。今後は、これまでの研究成果を踏まえつつ、契約外第三者(履行補助者など)への契約規範の影響関係の問題をさらに深めるべく検討を進めていきたいと考えている。
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