東ヨーロッパにおける民主化と「市民社会」-ハンガリーを中心に東中欧比較史の視座から-
Project/Area Number |
10720037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 武 東北大学, 法学部, 助教授 (90238361)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 東ヨーロッパ / 東中欧 / ハンガリー / 民主化 / 市民社会 |
Research Abstract |
1980年代末以降の東中欧諸国の民主化過程の分析を、ハンガリーを中心に、「市民社会」概念を用いて歴史的展開の中に位置付ける作業を進め、その成果の一部を、一つには、「東中欧民主化と市民社会論の射程-近代ハンガリー史への視座を交えて」という論攷として東北大学法学部の紀要に発表し、もう一つとして、1999年度日本政治学会研究会で「東中欧民主化と市民社会・政党制・政治文化」と題して報告を行った。 前者においては、共産党独裁体制の変容とデモクラシーへの移行過程とを、規範概念とは区別された分析概念としての「市民社会」概念を用いて、東中欧諸国間の比較に主眼を置きつつ分析することを試みた。 後者の学会報告においては、紙幅の関係で論文においては素描するにとどまったデモクラシーの固定化の時期を中心に、政党制の安定化過程と民主的政治文化の定着過程とに焦点を当てて、概観と同時に比較分析を試みた。政党制に関しては、変易性volatility指数を用いて、その安定化過程の遅れを指摘し、この要因の一つとして政党制と亀裂cleavageとの間の結合が市民社会の諸組織によって媒介される程度の低さを指摘し、他方で、にもかかわらず民主的政治文化の定着度は少なくとも東中欧三国では比較的高く、この現象は政治エリートの民主的な行動様式の定着度によって、部分的には、左右されるものであること、翻って前体制下での市民社会における対抗エリートの政治文化の反映でもあることを指摘した。 更に論文の末尾に、補論として、民主化前後にハンガリーで人口に膾炙した「市民化polgarosodas」という概念を用いて、ハンガリー近代史を市民社会概念を用いて再構成する方向性を、最近の現地での社会史の研究動向の紹介を絡めて、論じた。この点はまだ試論の域を出ず、今後の課題である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)