Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
本研究は、東南アジアの国民国家において権威主義体制が、いかなる前提といかなる条件の下で成立したか、そしてそれが維持されたりまたは瓦解したりするとすれば、そのダイナミズムはどのようなものかを解明するのを目的とし、具体的にはインドネシアとタイの2つの国家をとりあげ、それぞれの国家の制度的側面に重点をおきながら、主要なアクター(軍、官僚、ビジネスセクター)の比較分析を行なうものである。2年計画のうちの後半にあたる今年度は、以下の2点の研究活動に従事した。1.インドネシアならびにタイの政治研究蓄積の再検討・軍、官僚についてのデータベースの作成と分析昨1999年の総選挙前後の政治変動を中心としたデータの収集に従事するとともに、平成11年度からは新たに、タイの政治研究をサーベイし、タイの軍及び主要官僚の出自、キャリア・パターン等のデータを収集し、データベースを作成することに着手した。2.インドネシア・タイの権威主義体制の比較分析及び動態分析インドネシアとタイそれぞれについて、国内の軍隊、官僚、ビジネスセクターを、それぞれ固有のCorporate Interestを共有するアクター(社会集団)とみなして、そのCorporate Interestがいかに形成され、いかに維持され、いかに(可能性を含め)崩壊するのかのダイナミズムを解明し、それぞれのアクター間の対立と共存の構造的な関係分析を行った。なお、現在まで本研究に基づいた発表は行っていないが、インドネシアの権威主義体制崩壊の過程が一応の終了を見たので、来年度中にスハルト体制崩壊の動態分析に関する論文を執筆するための準備を現在行っているところである。