Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
1.多層的調整企業モデルによる複雑適応系シミュレーションを実行し、多層分散型市場の動態的挙動を研究した。多層入れ子型時間において価格調整と数量調整を定型的かつ多段階的に行う「多層型調整企業モデル」と,価格調整もしくは数量調整のみを連続的に行う「単層的調整企業モデル」を構築し、両者のコンピュータ・シミュレーションにおける挙動を「安定性」,「ランダム・ショックにたいする適応性」という観点から比較した。数値シミュレーションは,産業に同質的な企業のみが存在する「代表的企業モデル」と産業に異質な企業が多数存在する「マルチ・エージェント企業モデル」の二つの場合で行われた。その際,特に注目したのは,1)数量ストック緩衡および情報としての役割,2)数量調整と価格調整における閾値(信用の閾値を含む)の導入(限定合理性),3)数量・価格調整の調整時間サイクルの差異である。 2.代表的企業モデルでは,在庫閾値が小さいと価格が高水準,産出量が超低水準,閾値が中位の時,価格は低位安定,産出量は高位安定,閾値が大きい時,価格は低位で振動,稼働率水準は下方へと分散する。閾値・在庫費用を二変数とする総産出量平面は「でこぼこの景観」を示す。閾値が0に近いと,産出量が著しく低くなり,閾値が大きいと倒産する可能性が出てくる。在庫の閾値が異なるマルチ・エージェント企業モデルの場合,価格改定閾値の大きさに依存して,全企業が共存するケースといくつかの企業が倒産するケースに分かれる。前者では,ランダム変数がふくまれていないにも関わらず,総産出量や価格は大中小の波動が合成された景気循環運動(カオスを含む)を示す。後者では、波動は倒産という内生的ショックにより攪乱されたあと安定的に推移する。需要に外生的ランダムショックを周期的に与えると,単層的価格・数量調整よりも多層的調整の方が需要の数量変化によりスムーズに対応する。
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