1900-30年代ロシア経済学における限界学派とリベラル学派
Project/Area Number |
10730011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
経済理論
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤原 真史 (森岡 真史) 立命館大学, 国際関係学部, 助教授 (50257812)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ブルツクス / 社会主義 / 経済計算論争 / ソヴェト経済 / 計画経済 / 亡命ロシア人 / マルクス主義批判 / ミーゼス / ブルックス / 市場経済 / 資本主義 / 限界理論 / 社会主義計画経済 / ロシア革命 |
Research Abstract |
ロシア人経済学者ボリス・ブルツクスの著作を中心として,革命前後のロシアにおける自由主義経済学の動向を研究した。ロシアでは,限界原理がマルクス経済学者やナロードニキ系の農業経済学者らによって受容されるという特異な経過があり,自由主義の立場から労働価値論を否定し限界理論を擁護した経済学者は少ない。本研究ではその一人であるブルツクスの理論活動を,次の3つの時期に分けて整理した。第一の時期(革命以前)では,ブルツクスは,工業の発展に伴う市場の拡大・新産業部門の形成を前提とする農村から都市への人口移動および経営能力に富んだ勤労農民集団の成長を促進し,かつこの過程に伴う痛みを和らげる政策の必要性を唱えた。第二の時期(革命から国外追放まで)では,ブルツクスは共産党政権の経済政策の破綻の原因をマルクスの社会主義構想にまで遡って理論的に明らかにし,特に社会主義経済における経済計算の困難と革新・節約への動機の弱まりという問題を指摘した。第三の時期(国外追放後)では,ブルツクスはネップから強制集団化・工業化へのソヴェト政府の政策転換過程を詳細に分析し,集団化は必然的に農業生産力の長期的低下をもたらすこと,量的な工業化は,農村からの穀物の収奪と並んで,製品の品質,経済の効率性,労働者の生活水準などの犠牲により達成されたものであり,その基盤は脆弱であることを示した。ブルツクスはミーゼスと並ぶ徹底した社会主義の批判者であるが,ミーゼスとは異なり,勤労者の地位を高めるための社会政策を積極的に支持しており,彼の自由主義思想には,ロシア的なナロードニキ主義の良き伝統を継承している面があることも注目される。本研究の具体的成果として,以上の点を論文「ボリス・ブルツクス-活動と著作の概観」にまとめ,これに研究期間中の調査に基づくブルツクスの文献目録を付した。左記の目録は,現時点では最も詳細なものである。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)