Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Research Abstract |
この研究では,EU・EEA域内多国籍企業の従業員への情報開示と協義を定めた同制度が,大規模な私企業における民主的かつ合理的な意思決定メカニズムを求めるとともに,欧州レベルの社会政策の先駆的存在となった点に着目し,同制度に関する実証調査を行った。欧州各国におけるリサーチが急速に進展している分野だが,わが国の研究者による制度の機能に関する研究は少ない。 実際の研究は,主に制度制定の歴史的過程の考察と多国籍企業労使,特に経営サイドの制度評価の2点から行われた。前者に関しては,同制度案に対する欧州政治組織と労使団体の対応を詳細に追跡した研究の翻訳・紹介を中心に進めた(P.ケルシュコフ 1999)。後者に関しては,欧州労連ETUCなどの組織的調査を考慮して対象を経営サイドに限定し,在欧日系企業の全数調査と全指令対象企業のサンプル調査を行った。欧州産業連盟UNICEのポジション・ペーパー(ブリュッセル本部所蔵)等から,経営サイドのEWC指令に関する主張を収録,初期の実証研究も利用しつつ制度評価のモデルを作成した。このモデルをベースに調査表を作成,98年秋に日系企業を対象とする全数調査を,99年夏に関連多国籍企業100社を対象とするサンプル調査を行った。前者は,このテーマに関する体系的リサーチとしては国内外で最初期のもののひとつ(98回社会政策学会報告およびS.Nakano 1999)。後者に関しては,99年9月に現地ヒアリング調査を終え,近日中に英文論文を投稿予定。 今後は,当該制度に関する研究を深化させるとともに,それを萌芽期にある「欧州型社会モデル」の中に位置づけ,関連諸制度とともにその方向性を具体的に検討する作業に取り組みたい。
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