Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Research Abstract |
本年度はイギリス,フランス,ドイツ,イタリア,デンマーク,フィンランド,スウェーデン,EUで進行中の税制のグリーン化についてまとめ,その特徴と効果について検討した。 各国で進行している税制グリーン化にみられる共通の特徴としては,「中立性」を挙げることができる。例えばイギリスで1999年予算書に盛り込まれた気候変動課徴金案は2001年4月から17.5億ポンドの税収規模を予定しているが雇用主側の国民保険負担の0.5%ポイント引き下げを通じて税収は還元される。またドイツの税制改革案における税収増750億ユーロは,雇用や福祉などの税負担を軽減することで相殺される。フランスで提案されている環境税のセット「TGAP」は週35時間労働への移行期間の労働コストを引き下げる施策とセットになった税制改革案として提案されている。 中立性は導入反対論に対する考慮であるが,全体での中立を保ったとしてもまだ,税の導入によって損を被る産業が存在する。例えばイギリスの案では政府とのエネルギー効率改善合意を結んだ場合に免税措置を盛り込む案が検討されている。またイタリアでは1999年から2004年の5年にかけて税率は段階的に引き上げられる予定であり,所得分配面への急激なショックを緩和するという意味では注目される。またこうした措置は現在の設備で費用を大きくかけて削減するより,数年後に費用効率的に削減した方が効果的な場合もある可能性を考えると,効率性の面からも魅力を持っている。 近年,日本でも自動車税の「グリーン化」が議論されつつあるが,ヨーロッパの環境税制改革と比較すると,1)数値目標の存在と目標達成手段としての環境税の位置づけ,2)所得分配緩和措置の周到性,3)税制全体を視野に入れた改革,といった点で大きな違いがあることが分かった。
|