Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
今年度は,主に監査人による監査コミュニケーションの問題について分析した。 監査コミュニケーションにかかわる中心的な分析対象は監査意見であるが,監査人によって実施される職務の本質との関連で監査意見によって伝達されるメッセージに違いがあること,ならびに監査報告書に記載される監査意見の形態にこうした相違が反映されることを明らかにした。 今日の監査理論においては,監査意見の表明が求められる対象である「監査の主題」として,企業活動等に関連する事象を要約・表明する「情報」と,そうした情報のもとになる事象にかかわる「行為」が認識されている。すなわち,今日の監査理論においては,監査人の監査職務として,「情報の氾濫」と「行為の監査」が識別されているのである。その上で,「情報の監査」においては,監査意見を監査の対象となる情報の質に対する監査人の心証(合理的な判断)を伝達するメッセージとして理解する。他方,「行為の監査」においては,監査の主題について監査人が発見することを求められる事実の存在を指摘するという形で監査意見が表明される。「行為の監査」における監査意見の表明の特徴として,指摘すべき事実が存在しない場合には具体的な意見が表明されることはなく,「沈黙のメッセージ」が伝達されるということが解明された。 なお,昨年度および今年度の研究成果のうち,とくにフランスにかかわる部分を基礎としてまとめあげた論文に対して,博士(経営学)の学位を授与されることになった。 今後の課題として,監査コミュニケーションをより円滑化するために,その手段たる監査報告書の構造についてのより詳細な分析を行う必要があると考えている。
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