Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
研究代表者は,大場清と共同で,Strebelの2次微分の理論に相当するものを,1次微分に対して構築してきた.まず,Gauss平面上の平行・等長なスリットの対(井桁と名づける)からRiemann面をつくることを考えた.その結果明らかになったことは,この構成がmoduliを局所的には記述できること,はさみ合同の問題(Hilbertの第3問題)との関連,種数1の場合にどのように拡張すればmoduli全体を記述できるか,であった.一般の種数の場合にどのような拡張をおこなえばよいかがつぎの課題であったが,Giddings-Wolpertと中村によるバンド分解のアイデアや,Boedigheimerの理論を受けて,1次微分を極のまわりから「標準的に」積分していく方法を開発した.それはつぎのような筋である.1次微分はRiemann面上に,零点と極を除いて,affine構造を誘導する.このときさらに直線の傾きも大域的に意味をもつ.そこで零点と極,零点と零点を結ぶ,実軸に平行な半直線,線分をRiemann面上に引くことにより,バンド分解が得られる.その結果得られるデータは,ribbon graph上のcycleやcocycleである.これを稲妻列と名づけた.この稲妻列から元のRiemann面が再現される.ribbon graph上のcycle,cocycleは,3次元多様体の量子不変量,3次元双曲多様体,また数体を幾何的に記述するGrothendieckのDessinの理論にも現れる. 井桁はスリットを平行移動ではりあわせるものだが,180度まわしてはる方法(反平行井桁)も考えられる.これはむしろ2次微分の理論である.(Strebelのものとは異なるが.)この場合も同様に,moduliの局所的記述が可能である.さらに反平行井桁は,超楕円曲線の記述に適していることがわかる.
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