Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
間欠カオスを生じるようなあるクラスの一次元写像の力学系について,不変測度で測って速度が無限大となるような集合Aに対して,エルゴード理論の基本的な問題である時間平均(Aへの軌道の滞在時間/経過時間)の極限について研究を行ってきた.以前の研究では,その極限の存在のための十分条件およびその極限値に関する結果を得ていた. この研究は,それまでの研究をさらに推進し,上記の極限が存在することを証明していない場合について研究するものであった.そして,平成10年度に,一次元写像の力学系に対して,ある条件のもとで上記の時間平均の極限値が定まらずに振動することを示す定理を証明した.今年度の研究の目的は,その振動を続ける時間平均の値の分布状況をとらえるべく,その基礎となる極限定理を導くことであった.今年度の研究では,この研究を理論的に確固としたものにするために確率論および力学系理論関係の図書を購入して活用した.さらに,確率論および力学系理論のそれぞれの専門家と直接に何回も会って,この研究の進展状況を説明し,意見交換を行ったり,専門的知識・資料の提供を受けたりした. その結果,上記の極限が定まらない場合でも,「二つの不変測度で測って測度無限大となる集合への軌道の滞在時間に適当な重みを付けたものの比の極限が存在する」という新たな極眼定理を導くことができた.なお,この定理にきちんとした証明をつけた論文を専門誌に近々投稿する予定である.
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