Research Abstract |
1.本年度において,金属合金における異相界面の時間発展を記述する中間表面拡散流方程式について研究を行ってきた。この方程式は2階放物型方程式と4階放物型方程式の中間的な性格をもつため,そう呼ばれている。またこの方程式は,物理的意味を有する2つの正のパラメータを含んでいる。そのうちの1つである拡散係数Dを無限に大きくする際,2階方程式である面積(高次元では体積)保存曲率流方程式に収束するか,ということを問題としてきた。 2.本問題に対し,界面が閉曲線で記述されている場合に,時間局所的にはこの収束が実際成立することを解析的半群による最良正則性の一連の結果を用いて証明した。また,この結果の系として,曲線の具体的な挙動に関する次の結果も得た:「自己交差のない初期閉曲線に対し,中間表面拡散流方程式によりその曲線を時間発展させると,有限時間後に自己交差することがあり得る」。 3.さらに,交付申請書でも述べた3相界面の時間発展を記述する表面拡散流方程式についても,現在のところ部分的結果ではあるが,本質的な進展をみた。この部分的結果は,この問題の研究過程のなかで最も洞察を要する枢要な部分であることは是非とも強調しておきたい。
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