Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
宇宙の再電離過程は,宇宙で最初に形成された天体から放射された紫外線により引き起こされると考えられる.その紫外線が周囲に伝播していきガスを電離するという過程が,周囲のガスのその後の進化を左右する.このため,従来から紫外線の輻射輸送過程が調べられてきた.しかし輻射輸送は一般に計算が難しいので,従来の計算は1次元平板や1次元球対称などの簡単な幾何学的形状の場合がおもであった.いっぽう実際の初期宇宙においては密度が3次元的揺らぎを持っており,それらの密度揺らぎの程度・進化を明らかにすることが,その後の天体形成過程を解明するためには必要である.そこで本研究では,宇宙誕生後10億年程度の時期における宇宙の再電離過程を,3次元空間内の輻射輸送を正確に解くことによって調べた.その結果,宇宙の再電離は従来考えられていたよりもゆっくりとした現象として進行することがわかった.そしてこれは,3次元的に分布している密度の高い領域による紫外線の遮蔽効果によるものであることがわかった. さらには,観測されるライマンアルファ線の分布と数値シミュレーション結果を比較することにより,宇宙の再電離の時期およびそのときの紫外線強度の関係を明らかにすることが出来た.それによれば,赤方偏移z=7からz=5にかけて紫外線強度が2桁以上にわたって強くなったこと,そしてそれによって宇宙の電離が進行することがわかった.これにより,宇宙の最初の紫外線源の生成時期およびその進化を明らかにするための重要な手がかりが得られた. また一方,ここで開発した輻射輸送の数値計算法を他の天体の研究にも応用した.星形成の初期段階におけるフィラメント状星間雲の重力収縮過程を輻射流体力学的に数値計算し,最初の静水圧平衡天体の形成過程を明らかにした.また,原始星やTタウリ型星周囲の密度構造を,観測されるスペクトルと2次元軸対称輻射平衡計算との比較により求めることに成功した.
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