Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
申請者が所属している東京大学物性研究所末元研究室ではモードロックチタンサファイアレーザーを光源に用いて,発光の超高速上方置換分光法を行い,超短パルス光で結晶中に作られた擬一次元白金錯体自由励起子が断熱ポテンシャルの中に落ち込み熱分布していく様を観測することに成功している.しかし,励起光源の制限のために,上記の励起子は過剰な運動エネルギーを持っており,一旦運動エネルギーを失って運動エネルギー零の自由励起子となり断熱ポテンシャル面に沿って緩和していく様子が明確には見られなかった. 本研究では,平成10年度に差周波発生器からのパルス光を励起光とする発光の上方置換分光装置を立ち上げ,続く平成11年度には運動エネルギー零の自由励起子を生成し,これによって断熱ポテンシャルを滑らかに転がり落ちていく励起子による発光の観測をめざす. 平成10年度は差周波発生器の製作を試みたが,非線形結晶から出てくる差周波光強度は見積よりも非常に小さく,また不安定であった.一方,対象とする試料の架橋ハロゲン原子を塩素から臭素に変えた測定も行った.その結果,時間的に振動する発光成分が観測され,断熱ポテンシャル中を励起子の波束が振動していることによる構造と結論した.この結果は1998年の秋の日本物理学会分科会において報告した. 平成11年度に,これをまとめたものをPhycal Review誌に投稿し掲載された.末元研究室に導入された100kHz繰り返しの差周波光発生装置を用いた上方置換分光測定ではレーザーの安定性を得ることが重要となり,多くの時間を費やした.その結果を日本物理学会2000年春の分科会において発表する予定である.
|