Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
La214系を始めとする高温超伝導を示す酸化物ならびにその関連物質にホールを不純物ドープしたときに現れるストライプの起源およびストライプ相での磁気励起に関してサブミリ波ESRにより調べた。まずストイキオメトリのLa_2NiO_4において世界で初めて反強磁性共鳴(AFMR)を観測することに成功した。低温4.2Kにおけるc面内でのAFMRの角度依存性は正方晶から期待される90度パターンを示さず、面内のスピンは結晶軸から15度程度ずれていることがわかった。これは、交換相互作用の異方的成分が大きいことを示している。過剰酸素ドープしたLa_2NiO_4においてはホストのスピン波が乱れによって不鮮明になる一方で、異方性ギャップが母体スピン波の約20%と異常に小さい低エネルギーの磁気励起が波数ゼロの励起として現れることを見いだした。このような低エネルギーの励起の出現はスピンギャップを示すCuGeO_3であらわれる低エネルギーの反強磁性スピン波モードと類似している。ドープした酸素の乱れをクエンチやアニールによって制御すると、この低エネルギー励起は大きな影響を受け、乱れが大きくなると消失する。このことから、この新しい励起はホールが母体結晶中に規則的に配列した時に出来るスピン波状のモードであることが確認した。またこの低エネルギーの励起の異方性は、結晶のc面内で4回対称の異方性を示し、その方向はホールの作るストライプの方向と一致している。このモードが母体の反強磁性の転移点の約50%程度より低温で現れることから、ホールが完全に局在化する温度はかなり低く、低温までゆらぎが残っていると考えられる。さらに関連物質であるBi_2CuO_4の反強磁性共鳴の観測にも成功した。
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