Project/Area Number |
10740164
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒木 和彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10242091)
|
Project Period (FY) |
1998 – 1999
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 高温超伝導 / スピン揺らぎ / フェルミ面 / 酸化物 / 揺らぎ交換近似 / 有機導体 / 銅酸化物 / ペアリング対称性 / ハバード模型 / 量子モンテカルロ法 / 有機超伝導体 |
Research Abstract |
銅酸化物におけるd波超伝導の発見以来、スピン揺らぎ機構による異方的超伝導に対する関心が高まっているが、銅酸化物においてその層状構造(2次元性)が超伝導にどのように効いているのかは明らかになっていない。また、近年はルテニウム酸化物や有機導体においてトリプレットp波超伝導の可能性が指摘され、注目を集めている。そこで、我々は2および3次元の様々な格子構造上のハバード模型に対して揺らぎ交換近似を適用し、d波およびp波超伝導の可能性を調べた。その結果、2次元の方が3次元よりも有利であること、ならびにd波の方がp波よりも有理であることがわかった。これらの結果は、銅酸化物高温超伝導体が、スピン揺らぎ機構による超伝導という観点からみて最適な状況に対応していることを表している。 銅酸化物高温超伝導体においてはスピンの揺らぎが重要な役割を演じていると考えられているが、近年、中性子散乱実験により、スピン構造の詳細が明らかにされつつある。特に正孔ドープ系にみられる、格子と非整合なスピン構造の変調は「ストライプ」と呼ばれる電荷・スピンの一次元的な秩序状態によって説明できるとの提案がなされているが、一方において角度分解型光電子分光実験で観測されているフェルミ面の形状からどこまでスピン構造が理解できるのかにも関心が持たれる。そこで我々はハバード模型に対して揺らぎ交換近似を用いて帯磁率、およびフェルミ面を計算し、主な銅酸化物に対してフェルミ面の形状とスピン構造とが整合している事を示した。とりわけ、電子ドープ型NCCOにおいてスピン構造が整合的になること、およびLSCOの高ドープ領域においてスピン構造の非整合性が飽和すること、などはフェルミ面の形状から理解できる事を示した。
|