X線回折法による有機低次元導体の電子相関と電荷秩序との研究
Project/Area Number |
10740172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野上 由夫 岡山大学, 理学部, 助教授 (10202251)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 電子相関 / 低次元 / 電荷秩序 / 価数秩序 / モット絶縁体 / ウィグナー格子 / スピン電荷分離 |
Research Abstract |
有機導体の電子相関と電荷秩序を研究するために,低温X線カメラの開発をおこなった.このカメラは高S/Nという点で市販品より特に優れている。冷却器とX線カメラを組み合わせれば、低温X線カメラを作成することは難しくない。しかし、X線窓や窒素冷媒などからの散乱を除去することが難しかったため,高S/Nの低温X線カメラは存在しなかった。本研究では、ノイズシールドを冷却部分に設置し、試料が回転する場合にも、磁気カップルによってノイズシールドを固定し、ノイズ除去に成功した。これにより微弱信号も多数、測定する事が可能になり,電荷変調や価数秩序の解析がおこなえるようになった。 本研究で明らかになった結果をごく手短に述べる.1)(DIDCNQI)2Cuの低温高圧絶縁状態 低温高圧で変調構造に起因する微弱信号を検出し,この物質の絶縁状態が予測とは違う2kFCDWとCuの価数秩序状態であることを明らかにした。2)κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Xの低温絶縁相 この物質では,低温でのダイマー性の変化(構造変化)が電子相関を変化させ,d波超伝導からモット絶縁体までの基底状態を決定する。3)(DCNQI)2Agの電荷変調と4kFCDW 最近接クーロン相互作用Vの効果により,ウィグナー格子(電荷秩序)が形成される場合と,短距離クーロン反発Uによる4kFCDWが形成される場合の両方が存在する。4)θ-(BEDT-TTF)2CsM'(SCN)4の電荷変調と2kFCDW この物質でも,電荷秩序相が形成される。しかし競合するのは2kFCDWである。5)C60TDAE 強磁性が発現する状態では、より高い温度で必ず構造相転移が生じている。6)TTMTPI3 2種類の変調構造に対応し、金属非金属転移と非磁性転移が別の温度で起こる。スピン電荷分離が生じている可能性もある。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)