Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
θ-(BEDT-TTF)_2MZn(SCN)_4(M=Cs,Rb)は二次元1/4占有バンドを形成しているにもかかわらず,低温で絶縁体的に振る舞う.本課題研究では,この絶縁化の機構ならびに低温電子状態を微視的な観点から理解することを目的としている.Θ-(BEDT-TTF)_2CsZn(SCN)_4では,静磁化率・ESR・^1H-NMR測定から,1)金属状態において徐々に電荷分離が起こっていること,2)低温非金属相で新たな電荷局在状態が起こっていることを見いだした(J.Phys.Soc.Jpn.69 No.2).Θ-(BEDT-TTF)_2RbZn(SCN)_4では,平成10年度までに,冷却速度に依存した異なる電子状態をもつこと,特異な不純物効果を示すことを見いだしている.平成11年度は,伝導電子密度の高い分子中央部のC=C二重結合部をNMR測定にかかる^<13>Cで置換した分子を合成し,^<13>C-NMR測定を行った.試料を徐冷すると190K近傍で一次転移を起こし,金属絶縁体転移を起こす.^<13>C-NMR吸収線の温度依存性・角度依存性を詳細に調べた結果,室温ですべて等価であった分子が,190K以下で4:1に電荷分離を起こしていることを見いだした.また,スタック間の電荷分離ではなくて,スタック内に電荷の粗密が起こっていることがわかった.電荷分離が起こることは,強相関系でこれまで重要視されていたオンサイトクーロン相互作用のみならず,長距離クーロン相互作用が重要であることを意味している.これらの知見を元にして,分子性導体の電荷局在状態についての普遍的な理解を進めていく.本研究課題において,θ型二次元1/4占有系の重要さが内外に認識され,現在では多数の研究者がこの系の研究に参加している.これらの実験結果は分子性導体の分野のみならず,理論研究者・酸化物系実験研究者に多大なる影響を与えている.
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