Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
ネマチック液晶に電場を印加することで発生する電気対流現象(電気流体力学的不安定性)は,非平衡開放系における散逸構造の典型例として幅広く研究が行われている.特に近年は,対称性の観点から,棒状液晶分子が電極に対して垂直に配向したホメオトロピック配向系に注目が集まっている.このようなホメオトロピック系に電場を印加すると,まず初めにフレデリクス転移によって系の連続回転対称性が自発的に破れるためゴールドストーン・モードが生じ,さらに高い電場を加えると電気流体力学的不安定性によって系内に短波長の対流モードが生じる.このようなゴールドストーン・モードと対流モードが共存する系では,ソフトモード乱流と呼ばれる時空カオスが対流発生と同時に超臨界的に発生する. 本研究では,磁場中で電気対流を発生させ,さらに磁場中で試料を回転させることにより(波数ゼロの)回転モードを強制的に励起させ,その回転モードの対流パターンへの影響を調べた.パターンの振る舞いは印加電圧の周波数によってノーマル・ロールとオブリーク・ロールに分けられるため,それぞれの領域で観測した.液晶分子は磁場に平行になろうとして磁場に追随して回転するが,回転が速くなると追随できなくなる.そのような非同期領域ではソフトモード乱流と同様の等方的なカオス・パターンが現れた.これは,オブリーク・ロールにおけるカイラル対称性の破れが等方的なパターンの発生に寄与していることを示す.またノーマル・ロールの非同期領域では,defect-mediatedシェブロンと類似の周期的に欠陥の配列したパターンが現れた.これらのことから,ソフトモード乱流の発生メカニズムがオブリーク・ルールとノーマル・ロールでは全く異なることがわかった.
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