Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
活動火山近傍の,相互に500〜700m離れた位置に配置した気泡型傾斜計による連続傾斜観測を実施した結果,火山体浅部での微小な圧力変動を反映した明瞭な短時間傾斜変動が19例検出された。傾斜変動の発生時期については、火口表面活動や噴煙活動に伴なう連続微動とは,特に明瞭な関係は認められなかった.また,複数回続発する傾向が認められた.この短時間傾斜変動は,雲仙火山で観測されたような1分間以内で進行するステップ的変動ではなく,3例を除き1時間未満の継続時間をもつ変動で,大きさは約1マイクロラジアンかそれ以下であった.観測された傾斜変動のベクトルは,活動火口に近い観測点では火口下がりであるのに対して,活動火口より遠い観測点では火口と反対方向が下がりであったので,等方的な力源モデルでは説明できないことが分かり,開口成分を含む変動源の可能性が考えられた。そこで水平方向に開口成分をもつ点力源モデルを観測量に適用し,圧力源の位置,体積増加量および開口変位の方向を求めた.その結果,傾斜変動圧力源は活動火口の南から南南西もしくは南西方向の,1813年噴火火口との間の約1kmの範囲に位置し,深さが海抜0.1〜0.6kmで,体積増加量は500〜3000m^3と推定された.これらの変動圧力源は,比抵抗探査で明らかにされた火山体浅部の低比抵抗層内に位置するとともに,本観測とほぼ同時期に行なわれた自然電位の観測研究によって示唆された火山体浅部の熱水上昇域とよく対応することがわかった.加えて,マグマ起源の火山ガスである水素の検出地点にも近い.以上のことから,本観測で検出された短時間傾斜変動現象は,火山体浅部の流体の上昇変動に対応していると考えられる.
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