Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究の概要とそれらの成果を以下に列挙する. 1,湾域に生息する貝形虫種はどのような環境要因によりその分布が規制されているのかを検討し,第四紀の古水深変動を復元する際の基礎となる貝形虫種(あるいは群集)を特定するため,引き続き昨年と同様に三河湾,さらに本年度新しく大阪湾東部にて船による海洋調査(水深,水温,pH,溶存酸素量,塩分など)と表層堆積物の採取を行った.2年間の結論として,貝形虫群集に関してどちらの湾にも共通する以下のような特徴を認めた.(1)湾奥部から湾口部へ向けて水深に規制された群集変化が認められ,特定の貝形虫種の古水深指標を作成できること.(2)湾奥部では個体数が少なく,これは人為的な影響が効いている可能性があること.(3)三河湾では湾中央部,大阪湾では湾東部の泥底で生体が極めて少なく,かつ遺骸も少ない.これは夏場に溶存酸素量の極小水塊が形成されることが主要因であること. 2,作成した古水深指標に基づき,第四紀の海面変動を復元するため,愛知県の上部更新統野間層,神戸沖の大阪湾における完新統(ボーリングコア),千葉県九十九里の完新統(ボーリングコア)から多数の微化石用試料を採取し,貝形虫化石の解析を行った.結果として,それぞれについて相対的海水準変動が詳しく復元された.特に神戸沖の大阪湾では11,000年前頃に海水が入り,閉鎖的内湾奥となり,8,000年前頃の備讃瀬戸の開口後,明石海峡からの潮流の影響が増大し,5,500年前前後にピークに達し,水深も35m程度(現在は20mあまり)になった.その後潮流の影響が減少し,約2,000年前頃には淀川水系からの影響を受ける湾域に変化したことがわかった.九十九里浜では従来の研究地域と異なり,海退期の沿岸性(外浜・前浜)堆積物が厚く堆積し,その中の貝形虫化石はリワークが多く,殻の分析にはタフォノミーの影響を今後検討する必要性が認識された.
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