Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
不純物を含む水和電子クラスター(水クラスター負イオン)を生成させ,その質量スペクトルにおける強度分布からクラスターの安定性に対する不純物の効果を検討した。メタン,窒素などの小さな分子を付着させた場合,小サイズにおける水分子の魔法数6,7が保存され,弱い相互作用しかないことがわかった。一方,ヘキサンなどの大きな飽和炭化水素の場合は,水二量体負イオンに付着したものが特異的に強く観測され,さらに炭化水素側にも魔法数が存在した。この現象は,いわゆる疎水性溶媒和と関連していると考えられ,クラスターにおける包接構造を示唆している。 上記のようなクラスター負イオンの光誘起化学反応過程を研究するために,新たに反射型飛行時間質量分析装置を開発した。この装置は以前の装置と比べると飛躍的に質量分解能が向上しており,質量選別後の各イオンの全光吸収断面積を測定できるほか,光反応により生成した中性粒子の検出および解離フラグメントイオン種の同定も可能である。電子励起された水和電子クラスターの解離(蒸発)過程は,余剰電子と溶媒分子とのエネルギー交換,すなわちBom-Oppenheimer近似を本質的に適用できない相互作用により引き起こされる。また,それには必然的に余剰電子の「再局在化」が伴われる。したがって,解離過程には溶媒中の電子移動や溶媒和電子形成機構の情報が隠されていると考えられる。今後,種々の不純物を含む水和電子クラスターの解離=余剰電子の再局在化過程を観測することにより,溶媒中の長距離電子移動を支配する因子を検討する計画である。
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