Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
前年度において合成を行った環状シラクラウン化合物、1,4,7,10,13-ペンタシラシクロペンタタデカン(15-Si-5)、1,4,7,10,13,16-ヘキサシラシクロオクタデカン(18-Si-6)のうち、18-Si-6がリチウムイオン、ナトリウムイオンとの1:1錯体を容易に形成することを分光学的に明らかにしているが、対アニオンとして用いたテトラフェニルボレートの熱的安定性の低さに起因して単結晶を用いた構造解析や錯生成定数の決定による定量的取り扱いには成功していなかった。 本年度は、より安定な対アニオンとして電子吸引性基(トリフルオロメチル基、フルオロ基、クロロ基等)をフェニル基上に導入したテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートや種々のフルオロ置換テトラフェニルボレート、クロロ置換テトラフェニルボレートを用いることで生成する錯体の熱的安定性を向上させ、種々の解析を行うことを目的とした。しかしながら、フッ素を含む対アニオンを用いた場合、種々の条件下での18-Si-6とリチウムイオン、ナトリウムイオンとの錯化を検討したが、全く錯体を形成しないことが明かとなった。最も電気陰性な元素であるフッ素原子とリチウムイオンとの間の静電的な相互作用が、18-Si-6との錯化を阻害しているものと推定される。一方、クロロ置換テトラフェニルボレートを対アニオンとして用いた場合には、熱的にも安定な1:1錯体を容易に形成することが分かった。現在、X線構造解析に向けた単結晶の作製を検討中である。 また、18-Si-6の単結晶X線構造解析に成功し、18-Si-6単独ではアルカリ金属イオンを取り込みうるキャビティーが存在しないことが示され、環状シラクラウン化合物はアルカリ金属イオンに対して"induced fit"型のホスト分子であることが明かとなった。
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