Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究は、膨大な研究の蓄積があるケトンの化学との対比に注目して、(1)高周期14族-16族元素二重結合化合物を光反応及び熱反応によって簡便に発生させる方法を開発し、(2)発生した二重結合化合物の光化学的挙動を中心に調べることを目的としている。今年度は、昨年度に引き続き1,3,5,2,4,6-トリカルコゲナトリスタンニン類と1,3-双極子との新しい反応によりスズを含む新規な複素環化合物を合成し、その分解反応によるスズ-カルコゲン二重結合化合物の発生について検討した。 まず1,3-双極子として反応性が高いことが知られているニトリルオキシドとの反応を検討したところ、1,3,5,2-オキサカルコゲナザスタンノールが得られた。このうちセレンの系での生成物である1,3,5,2-オキサセレナザスタンノールは比較的不安定で、溶液中で原料とニトリルオキシドに解離することが分かった。この挙動は他の14族元素の1,3,5-オキサカルゴゲナアゾールと違い、解離の初期段階でスズ-セレン二重結合化合物、スタンナンセロンが生成していることを示している。一方、硫黄の系で得られた1,3,5,2-オキサチアザスタンノールとニトロンや2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンとの熱反応を検討したが全く反応が進行せず、1,3,5,2-オキサチアザスタンノールの熱反応によるスタンナンチオンの発生は確認できていない。さらに反応の一般性を検討する目的でスズ上にt-ブチル基を有する1,3,2,4-ジチアジスタンネタンとニトリルオキシドとの反応を検討したところ、これまでと同様に1,3,5,2-オキサチアザスタンノールが生成することがわかった。この化合物の構造は、最終的にX線構造解析により決定することができた。これは1,3,5,2-オキサチアザスタンノールの構造を明らかにした初めての例である。
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