NMR・計算機科学を用いたアミド化合物の構造および動的挙動
Project/Area Number |
10740291
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
禅 知明 横浜国立大学, 工学部, 助手 (10262411)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | NMR / 計算化学 / アミド / 物理有機化学 / 機器分析 / 化学シフト / 回転障壁 |
Research Abstract |
置換芳香族アミド系のアミド結合付近の原子核のNMR化学シフト値に対する置換基効果については、交差共役系の存在するフェニルウレア系に加え、桂皮酸アニリド系も合成した。これまでの芳香族アミド系同様に、観測している核の化学シフト値は置換墓が電子吸引性になるほど低磁場シフトすることがわかっているが、逆に高磁場シフトを示す核が存在することが新たに判明した。この逆の置換基効果を示す核は置換基のある芳香環と共役可能なアミドカルボニル基の炭素と共役可能な二重結合の置換基に近い側の炭素であった。すなわち、この化学シフト値に対して置換墓の電子的性質を示すσ値とのHammettプロットにて置換基効果を評価した場合、通常は正の傾きもつものが、上記の2つの炭素上では負の傾きを示す。この原因はチェコのFriedlらによりπ電子の局所分極という概念で論文に報告されているが、我々はπ電子の局所分極ならずσ結合を通してもπ電子の分極の度合いの変化が伝達されている可能性があると考え、さらに置換芳香環とアミド基の共役系を断ち切った系について合成し同様の調査を行うとともに、簡単なハロゲン置換脂肪族ケトンのカルボニル系モデルについても調査を行っている。また芳香族アミド系では電子的な置換基効果は化学シフト値のみならず、動的状態を観測できるNMRの温度可変測定によりアミドのC-N結合回りの回転障壁にも反映され、良い相関のHammettプロットを与えることを置換N-メチルアセトアニリド類にて確認することができた。 また、アミド化合物では水素結合とともに類似の弱いCH/π相互作用の存在も考えられ、NMRによるNOE測定結果と分子力場計算MM3による安定配座の探索の結果より、分子全体が伸びきった配座の存在に邪魔されることなく、折れ曲がったCH/π相互作用の存在が可能な配座が安定に存在することが示唆された。この化合物の芳香環上に置換基を入れるとNOE強度とのHammettプロットにおいて、良好な相関関係を示し、しかもその傾きρ値が負となり、CH/π相互作用の原理にかなう結果となった。この傾向は芳香族アミド化合物にとどまらず、アミド基をアルコキシル基、アミノ基、ホルミルオキシル基、カルボニル基の芳香族系列でも確認することができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)