Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究は白金II価の錯体が配位子として他の金属イオンに配位し,供与型白金-金属間結合を形成した錯体を合成し,その錯体の性質を調べることを目的としている.前年度は配位させる白金II価錯体として炭素ドナーを有する配位子を持つ錯体,[Pt(phpy)_2],[Pt(thpy)_2],[Pt(Me)_2(bpy)](Hphpy=2-phenylpyridine,Hthpy=2-thienylpyridne),を用いて合成を行いかなり短いPt-AgおよびPt-Cd距離を有する錯体を得ることができた. 本年度はAg+の対陰イオンを変え合成を行った.対陰イオンを若干配位性のあるNO_3-CF_3COO-にした場合PF_6-,ClO_4-の場合と異なりPt_2Ag_2四核錯体が得られた.この場合もPt-Ag結合は供与型白金-金属間結合であるが,Ptのd_<z^2>軌道はAg-Agの中間を向いており3中心2電子型であると考えられる.その結果がAg-Ag距離(約2.8Å)にも現れておりAg-Ag間に弱い結合が存在すると考えられる.また,原料白金錯体として[Pt(dbbp)(en)](dbbp=di-t-buthylbiphenyl,en=ethylendiamine)を用いて合成を行った.この場合対陰イオンの配位性の有無にかかわらずPt_2Ag_2四核錯体のみが得られた.この原料錯体の芳香環は配位性が強くAg+に配位しやすいことがこの原因と考えられる. また,配位される金属イオンとしてHg^<2+>を用いたところ酸化還元反応が起こりPt(III)-Hg(I)共有結合を有する複核錯体[PtXL_2HgX](L=phpy,thpy,X=Cl,Br),[PtX(Me)_2(bpy)HgX](X=Cl,Br)が得られた.Pt-Hg距離は2.523(I)-2.555(I)ÅでありPt-Hg間に単結合が存在していると考えられる.これらの白金-水銀複核錯体は供与型金属間結合でなく,酸化還元が起こった結果得られた共有結合型の金属間結合を有するPt(III)-Hg(I)複核錯体であり珍しい錯体であった.
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