Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本年度は,n-BuCS_2Hを配位子に用いてPt_2(n-BuCS_2)_4Iを合成し,示差走査熱量測定(DSC),結晶構造,電気伝導挙動,磁性について研究を行なった.DSC測定からPt_2(n-BuCS_2)_4Iは204〜212Kと318〜323Kの温度領域で相転移を起こすことがわかった.低温相(167K),中間層(298K),高温相(351K)の温度で結晶構造解析を行なった.いずれの場合も晶系は正方晶系であり,中性の一次元鎖-Pt_2(n-BuCS_2)_4-I-Pt_2(n-BuCS_2)_4-I-は結晶学的4回軸上に存在していた.相転移に伴い一次元鎖方向の周期は-Pt-Pt-I-の周期の2倍(低温相:P4/n),3倍(中間相:I4/m),1倍(高温相:I4/m)と変化することを明らかにした.低温相での白金-白金,白金-ヨウ素原子間距離からPt_2(n-BuCS_2)_4Iの原子価配列の様子を推定すると-Pt^<II>-Pt^<III>-I-Pt^<III>-Pt^<II>-I-(スピン-パイエルス状態)に近い状態であると考えられた.抵抗率の温度依存性を測定したところ,室温での電気伝導率は17〜43Scm^<-1>であり,DSCの結果と一致して,210Kと324K付近で抵抗率に跳びが認められた.低温相,中間相では,それぞれ活性化エネルギーが122meV,223meVの半導体的挙動を示した.熱電能の温度依存性から,高温相では金属的状態であることがわかった.磁化率測定から,低温側の転移点でスピンーパイエルス転移を起こしていることを明らかにした.このスピンーパイエルス転移はハロゲン架橋一次元複核白金錯体において最初に観測された例である.
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