Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
平成11年度では当初計画に従い,昨年度に合成した種々の新規ピリジノホスフィン-パラジウム錯体を用いて,不斉アリル化反応における基質の適用範囲の拡大について検討した。 昨年度までの研究により,1,3-ジフェニル-2-プロペニアセテートのように,1,3位にかさ高い置換基を持つ基質では97%eeと高い不斉収率が得られているが,1-メチル-2-ブテニルアセテートのように立体的に小さな基質では最高78%eeまでしか得られていない。この不斉収率は,P-N型不斉配位子を用いる室温での値としてはこれまでで最高の不斉収率であるが,なお改善の余地がある。そこで,まず反応条件を検討して不斉収率の向上を目指すことにした。種々の溶媒や塩基について検討したところ,水素化ナトリウムを塩基として,アセトニトリル中15-crown-5の存在下で反応を行うことにより,82%eeの不斉収率を得ることが出来た。なお,15-crown-5を添加しない場合は,反応性,化学収率,不斉収率の全てが低下した。次に,この条件で反応温度を下げたところ,-15℃で88%eeまで向上させることが出来たが,化学収率が温度の低下に伴って極端に低下し,基質が反応条件で分解することが示唆された。そこで,基質の脱離基をアセテートから脱離能の低いカーボネートに変えて反応を行った。カーボネートの種類について検討したところ,フェニルカーボネートを用いた時に室温で83%eeと高い不斉収率が得られた。しかもこの条件では反応性も高く,-25℃まで反応温度を下げたところ良好な化学収率とともに(85%yield),93%eeとこれまでの全ての不斉配位子の中で最も高い不斉収率を達成することに成功した。これらの成果は論文及び学会に報告した。
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