アメンボ科昆虫の生殖、分散力、耐寒性及び耐乾性に及ぼす水面消失の影響
Project/Area Number |
10740361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生態
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
原田 哲夫 高知大学, 教育学部, 助教授 (60260692)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 生息場所の安定性 / アメンボ科昆虫 / 水面の消失 / 乾燥耐性 / 過冷却点 / 飛翔傾向 / 寿命 / 分散多型現象 / 飛翔筋 / 生殖 |
Research Abstract |
カナダ・アルバータ州エドモントン市(55゜N)産Gerris buenoiとGerris pingreensisの2種の成虫を羽化後水面消失とそれに伴う餌不足の状況に置いたところ、G.buenoiは産卵数を極端に減らし飛翔行動を抑え、寿命を延ばし水面の回復を待つ戦略を採った。 G.pingreensisでも産卵数は減少し、飛翔行動も抑えられたが寿命が延びる傾向は見られず、不完全ながらもG.buenoiと同じ戦略を示した。 G.pingreensisは湖などの極めて安定した水面を利用するため、水面消失などによる淘汰圧がかからず、干上がりに対する戦略が充分発達しなかったのだろう。 一時的な水面から安定した水面まで広い範囲に生息するアメンボ(A.paludum)成虫と、安定した水面にのみ生息するハネナシアメンボ(Gerris nepalensis)無翅型成虫について(いずれも高知産)湿度65-70%、16℃、恒明条件で乾燥実験を行った。両種共、秋の休眠個体の生存時間(約38h)は春の越冬後生殖個体(約23h)や夏の生殖個体(13-21h)の値より有意に長かった。また体サイズの違いを考慮に入れて両種を比較すると、越冬世代についてはハネナシアメンボがアメンボより乾燥に強く、夏の生殖世代では逆にアメンボの方が強かった。 これは、夏、アメンボの生息場所の方が干上がる機会が多く、ハネナシアメンボ無翅型は池の周辺の土手など比較的乾燥した場所で越冬することと関係するものと思われる。また、生殖個体を採集し湿紙上で20日間、陸順応させても、乾燥に対する耐性がより高くなることはなかった。 羽化直後から30日間、短日下、湿紙上で陸順応させた札幌産(42゜N)アメンボ成虫を-3℃下に曝すと、陸順応させなかった個体より長時間生きる傾向が見られた。12L-12Dの短日条件下でチェコ共和国、チェスケ・ブデヨビッツエ(49゜N)産アメンボ成虫から水面を奪った場合水面を与えられた雌は与えられなかった雌より有意に多く産卵した.湿紙上で飼育された雌のアラタ体は水面上にあった個体のものよりも有意に小さく、アラタ体の関与を暗示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)